665条の2 混合寄託

条文

複数の者が寄託した物の種類及び品質が同一である場合には、受寄者は、各寄託者の承諾を得たときに限り、これらを混合して保管することができる。
2 前項の規定に基づき受寄者が複数の寄託者からの寄託物を混合して保管したときは、寄託者は、その寄託した物と同じ数量の物の返還を請求することができる。
3 前項に規定する場合において、寄託物の一部が滅失したときは、寄託者は、混合して保管されている総寄託物に対するその寄託した物の割合に応じた数量の物の返還を請求することができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。

解説

改正趣旨

民法に規定はなかったものの,契約自由の原則に基づき実務的に契約が行われていた混合寄託契約について明示したものである。 
石油や穀物等について,複数の寄託者からの寄託物を混ぜ合わせて保管するが,消費寄託のように受寄者がそれを利用するわけではない点に特徴がある。
弁護士債権法改正p352は,混合寄託においては,寄託者は寄託物に対する所有権を失い,物の返還請求権という債権のみを有するとする。

実務指針

多くの場合,詳細な契約書が作成されると思われ,本条の存在が個別の契約に対して及ぼす影響は大きくないと思われる。
ただし,複数の混合寄託契約の内容が異なる場合,たとえば,各契約について本条3項と異なる割合を規定していてその割合による処理が矛盾する場合(それぞれが自らの分を優先的に取得できる条項がある場合)には,各契約の利益調整条項として本条3項に基づいて按分支払いすることになる,という機能が予測される。
その場合,665条の2第3項に反する合意は,当事者間では有効であるが,他の混合寄託者との間では665条の2第3項が優先すると解されることになる。

債権説と共有説の違い

一般の寄託においては,受託者が破産しても,寄託者は所有権に基づき取戻権を行使して寄託物を回収できる。混合寄託の受託者が破産した場合,寄託者が寄託物の所有権を失うと解する(上記弁護士債権法改正の見解)と,寄託物を取り戻すことができず,破産債権者として権利行使することができるにすぎない。
しかし,混合寄託によって共有関係が生まれ,本条はその場合の権利行使の特則を定めたものと解すると,受託者は共同して取戻権を行使できると解する余地もあると思われる。

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